大学中退したら奨学金はどうなる?返済開始の時期と払えないときの対処法
大学を中退すると、借りていた奨学金はどうなるのか。退学を考えている人や、中退したばかりの人にとって、いちばん気がかりなことの一つです。
先に結論を書いておきます。
- 退学すると奨学金の貸与は終わり、返還が始まる(中退しても返還が免除されることはない)
- 返還は貸与が終わった翌月から数えて7か月目から始まる
- 返済が苦しいときは「減額返還」「返還期限猶予」という制度がある
- 延滞が3か月以上続くと、個人信用情報機関への登録対象になる
この記事では、日本学生支援機構(JASSO)の公式情報をもとに、大学中退と奨学金の関係を整理しました。制度は変わることがあるので、手続きの前には必ずJASSOの公式サイトや学校の窓口で最新の情報を確認してください。
大学を中退すると奨学金はどうなる?
貸与型の奨学金は「返還」が始まる
JASSOの貸与型奨学金(第一種・第二種)は、退学して学生の身分を失った時点で貸与が終わり、それまでに借りた分を返していくことになります。中退したからといって、返還が免除されることはありません。
逆にいえば、返し方そのものは卒業した人と同じです。月々決まった額を口座振替で返していく形になります。
退学するときの手続き
在学中に退学する場合は、まず学校の奨学金担当の窓口に連絡します。JASSOの案内では、学校の担当者に奨学金の振込を止めてもらい、学校から「貸与奨学金返還確認票」を受け取って内容を確認する流れになっています。
退学の手続きと奨学金の手続きは別なので、退学届を出すだけで終わりにせず、奨学金の窓口にも必ず連絡しましょう。手続きが遅れると、退学後も奨学金が振り込まれ続け、あとで返す金額が増えてしまうおそれがあります。
返還はいつから始まる?
JASSOの貸与型奨学金は、貸与が終わった月の翌月から数えて7か月目から返還が始まります。
たとえば9月に退学して、9月で貸与が終わった場合は次のようになります。
| 時期 | 状況 |
|---|---|
| 9月 | 退学・貸与終了 |
| 10月〜翌年3月 | 返還はまだ始まらない(6か月間) |
| 翌年4月 | 返還開始(翌月から数えて7か月目) |
つまり、退学してから返還が始まるまでは約半年しかありません。この間に収入の見通しを立てておくことが大切です。
返還の方式は2種類
返還の方式には、毎月決まった額を返す「定額返還方式」と、その年の所得に応じて返還額が変わる「所得連動返還方式」があります。所得連動返還方式を選べるのは、平成29年度以降に第一種奨学金(無利子)の貸与を受けた人です。
どちらの方式になっているかは、「貸与奨学金返還確認票」やJASSOの「スカラネット・パーソナル」で確認できます。
別の学校に入り直す場合
中退したあと別の学校に入り直す場合は、在学している間は返還を先送りできる「在学猶予」を願い出られる場合があります。新しい学校で奨学金の窓口に相談してみましょう。
給付型の奨学金を受けていた場合は要注意
返済不要の給付型奨学金(高等教育の修学支援新制度)を受けていた場合も、退学すると支給は終わります。
注意したいのは、退学時に学校が行う確認(適格認定)で、学業成績の判定の結果によっては、すでに支給された給付奨学金の返還を求められる場合があることです。成績が著しく不振で、やむを得ない事情がないと判断された場合などが対象になります。
一方で、病気やけが、災害など「やむを得ない事由」がある場合は扱いが変わることもあります。給付型を受けている人は、退学を決める前に学校の奨学金窓口で必ず確認しておきましょう。
返済が苦しいときに使える制度
中退したあと収入が少なく、決められた額を返すのが難しい場合は、JASSOに願い出て使える制度があります。払えないまま放置するのがいちばん危険なので、苦しくなったら早めに手続きをしましょう。
減額返還制度
毎月の返還額を減らして、その分返還期間を延ばす制度です。
- 月々の返還額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1のいずれかに減らせる
- 1回の申請で12か月適用され、最長15年(180か月)まで延長できる
- 経済的な理由の場合の目安は、給与所得者で年収400万円以下(令和6年4月に325万円以下から引き上げ)
返す総額が減るわけではありませんが、毎月の負担を軽くしながら返し続けられるので、アルバイトなどで収入が少ない時期には現実的な選択肢です。なお、所得連動返還方式を選んでいる場合は、減額返還制度は使えません。
返還期限猶予(一般猶予)
経済的に苦しい、失業しているなど、返還が難しい事情があるときに、返還そのものを一定期間先送りできる制度です。
- 適用期間は通算10年(120か月)が上限(災害や傷病など、10年の制限がない事由もある)
- 先送りするだけで、返すべき元金や利子が免除されるわけではない
収入の基準や必要な証明書は事由によって異なるので、JASSOの「返還が難しくなった場合」のページで確認してください。
延滞するとどうなる?
手続きをせずに返還が遅れると、次のようなデメリットがあります。
- 延滞金がかかる:延滞している金額に対して延滞金(現在は年3%)が加わる
- 個人信用情報機関に登録される:延滞が3か月以上になると登録の対象になり、スマートフォンの分割払いやクレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンが組めなくなったりする場合がある
- 保証人に連絡がいく:連帯保証人・保証人を立てている場合(人的保証)は、延滞が続くと保証人に請求が及ぶことがある
信用情報の登録は、返還が終わってから5年後まで残ります。一度延滞すると長く影響が残るので、「払えないかもしれない」と思った時点で、減額返還や返還期限猶予を申し込みましょう。
中退後の返済は「安定した収入」がカギ
奨学金の返還は、毎月決まった日に口座から引き落とされます。アルバイトだけの収入だと、シフトが減った月に一気に苦しくなりがちです。
減額返還や返還期限猶予はあくまで一時的な対策で、返す総額は変わりません。猶予を使っている間も、返すべきお金はそのまま残っています。
中退後に奨学金を無理なく返していくには、正社員として就職し、毎月の収入を安定させることがいちばんの近道です。返還が始まるまでの約半年は、就職活動を進めるのにちょうどいい期間でもあります。
大学中退からの就職は、早く動くほど選択肢が広がります。既卒やフリーター向けの就職エージェントなら、学歴不問の求人紹介から面接対策まで無料で相談できます。フリーターや既卒の就職支援に特化したハタラクティブは、公式サイトで大学中退者も対象として明記しています。
大学中退者がエージェントを選ぶときのポイントは、こちらの記事にまとめています。
よくある質問
中退したら一括で返すように言われる?
退学しただけで一括返済を求められることは、通常はありません。卒業した人と同じように、月々の口座振替で返していきます。余裕があるときは、繰り上げて返すこともできます。
返還はどうやって払う?
口座振替(リレー口座)で、毎月決まった日に引き落とされます。引き落とし口座や返還の条件は「貸与奨学金返還確認票」で確認できます。口座を変更したい場合は、JASSOの案内に沿って手続きしましょう。
いくら返すのか確認するには?
返還する総額や月々の返還額、返還の回数は「貸与奨学金返還確認票」に記載されています。JASSOの「スカラネット・パーソナル」に登録すると、インターネットで返還状況を確認できます。
休学ではだめ?
中退を迷っている段階なら、休学という選択肢もあります。休学中は奨学金の振込が「休止」になり、復学すれば再開できます。退学は取り消せないので、迷っているうちは学校の窓口に相談してみましょう。
奨学金のほかに、年金や健康保険の手続きも必要です。中退後にやることは、こちらにまとめています。
まとめ
- 大学を中退すると奨学金の貸与は終わり、貸与終了の翌月から数えて7か月目から返還が始まる
- 退学するときは、退学届とは別に学校の奨学金窓口へ連絡する
- 給付型を受けていた場合は、成績によって支給済みの分の返還を求められることがあるので事前に確認する
- 返済が苦しいときは減額返還や返還期限猶予を早めに申し込む。延滞3か月以上で信用情報に登録される
- 無理なく返すには、正社員として就職して収入を安定させるのが近道
大学中退後の進路や、就職活動の進め方は、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

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