「今のバイト先で頑張れば、いつか正社員にしてもらえるかもしれない」。求人に「正社員登用あり」と書かれていると、そう期待するフリーターも多いと思います。

結論から書くと、正社員登用は「うまくいけばラッキー」くらいに考え、並行して正社員の就職活動も進めるのがおすすめです。この記事では、正社員登用のしくみと実態、狙うなら押さえておきたいポイントをまとめました。

正社員登用制度とは

正社員登用制度とは、アルバイト・パートや契約社員などとして働いている人を、社内の選考を経て正社員に転換するしくみです。

実は法律でも、企業に正社員への転換を進める取り組みが求められています。パートタイム・有期雇用労働法では、事業主はパート・有期雇用で働く人について、次のいずれかの措置をとらなければならないとされています。

  • 正社員を募集するとき、その募集内容を今働いているパート・有期雇用の人にも知らせる
  • 正社員のポストを社内で公募するとき、パート・有期雇用の人にも応募の機会を与える
  • 正社員に転換するための試験制度を設ける
  • そのほか、正社員への転換を進めるための措置をとる

ただし、これは「転換を進める措置」を求めるもので、実際に正社員にすることまでは義務づけられていません。

正社員登用制度がある会社はどれくらい?

厚生労働省の「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」によると、正社員への転換制度が「ある」とした企業の割合は次のとおりです。

働き方 正社員転換制度がある企業の割合
無期雇用のパートタイム 41.8%
有期雇用のパートタイム 42.2%
有期雇用のフルタイム 50.1%

制度がある企業は半分以下です。また、制度があっても、実際にどれくらいの人が正社員になっているかは会社によって大きく違います。

同じ調査では、正社員に転換するときの基準として、「人事評価の結果」(67.7%)、「所属する部署の上司の推薦」(48.8%)、「一定の職務経験年数」(41.1%)が多く挙げられています。つまり、職場での評価や上司の推薦がないと、制度があっても正社員にはなりにくいのが実態です。

正社員登用を狙うメリット

  • 慣れた職場で正社員になれる:仕事内容や人間関係がわかっているので、入社後のギャップが少ない
  • 働きぶりを見てもらえる:面接だけでは伝わらない、まじめさや能力を評価してもらえる
  • 就職活動の負担が少ない:何社も応募する必要がない

正社員登用だけに頼るリスク

  • いつ正社員になれるかわからない:「いずれ」と言われたまま何年もたつことがある
  • 登用の枠が少ない:店舗や部署の正社員ポストが空かないと登用されないこともある
  • 年齢を重ねると転職の選択肢が減る:登用されないまま年齢が上がると、未経験で応募できる求人が少なくなる
  • 正社員になっても待遇が大きく変わらない場合もある:給与や仕事内容を事前に確認しておきたい

特に20代の人は、「登用されるかどうか」を待っている時間がいちばんのリスクです。

正社員登用を狙うなら押さえたいポイント

1. 制度の中身と実績を確認する

「正社員登用あり」と書かれていても、制度の中身は会社によってさまざまです。登用の条件(勤続年数・試験・推薦など)と、実際に登用された人がどれくらいいるかを、面接や入社後に確認しましょう。

2. 正社員になりたいことを上司に伝える

正社員登用には上司の推薦が重視されることが多いので、「正社員を目指している」ことをはっきり伝えておくことが大切です。黙って待っていても、声はかかりにくいものです。

3. 期限を決める

「1年以内に登用されなければ、別の会社で正社員を目指す」のように、自分の中で期限を決めておきましょう。期限がないと、ずるずるとアルバイトを続けてしまいがちです。

「無期転換」と「正社員登用」はちがう

同じ会社で有期契約を更新しながら長く働くと、「無期転換ルール」によって、期間の定めのない契約(無期雇用)に変えてもらうことを申し込めるようになります(同じ会社での有期契約が通算5年を超えた場合)。

ただし、無期雇用になることと、正社員になることは別です。無期転換後も、給与や仕事内容などの条件はそれまでと同じままというケースもあります。

登用を待つより、正社員の求人に応募するのも手

正社員登用はチャンスの一つですが、それだけに頼る必要はありません。20代なら、未経験OKの正社員求人に直接応募したほうが、早く確実に正社員になれることもあります。

アルバイトを続けながら就職活動を進めるなら、既卒・フリーター向けの就職エージェントを使うと、効率よく求人を探せます。

よくある質問

「正社員登用あり」の求人は信用していい?

制度自体はあっても、実際の登用実績は会社によって大きく違います。応募するときは、面接で「これまでに何人くらいが正社員に登用されたか」「登用の条件は何か」を聞いてみましょう。

アルバイトから正社員になったら給料は上がる?

会社によって違います。月給制になって賞与が出るようになる場合もあれば、時給で働いていたときとあまり変わらない場合もあります。フリーターと正社員の収入の違いは、こちらで解説しています。

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契約社員から正社員になるのも同じ?

基本的な考え方は同じです。契約社員の正社員登用も、会社の制度と評価しだいです。雇用形態ごとのちがいは、こちらにまとめています。

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まとめ

  • 法律で企業には正社員への転換を進める措置が求められているが、正社員にすることまでは義務ではない
  • 正社員転換制度がある企業は半分以下(令和3年調査)。登用には人事評価や上司の推薦が重視される
  • 狙うなら、制度の中身と実績を確認し、上司に意思を伝え、期限を決める
  • 無期転換と正社員登用は別もの
  • 20代なら、登用を待つより正社員の求人に並行して応募するほうが確実なこともある
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