「フリーターのままでも、もう少し年収を上げたい」と思っている人は多いと思います。

年収を上げる方法は、大きく分けると「時給の高い仕事や時間帯を選ぶ」「年収の壁を正しく知って働き方を決める」「資格で手当や時給を上げる」「正社員になる」の4つです。この記事では、それぞれの効果を具体的な数字で計算しながら、今日からできることをまとめました。先に結論を書いておきます。

  • フリーターのまま年収を上げるなら、深夜手当(22時〜5時は25%以上の割増)や、時給の高い仕事への切り替えが即効性が高い
  • 「年収の壁」を気にして働く時間を減らす前に、2026年10月からの社会保険の変更と、所得税の178万円の壁を確認する
  • いちばん大きく年収が変わるのは正社員になること。年齢が上がるほど差は開く

まずは今の年収を計算してみよう

年収を上げる前に、今の年収を正しく知っておきましょう。アルバイトの年収は、次の式でざっくり計算できます。

年収 = 時給 × 1日の労働時間 × 月の出勤日数 × 12か月

たとえば、時給1,200円で1日7時間、月20日働く場合は、1,200円 × 7時間 × 20日 = 月16万8,000円、年収は201万6,000円です。

ここから所得税や住民税、社会保険料が引かれたものが手取りです。給与明細を見て、次の項目を確認しておきましょう。

  • 時給と、深夜・残業の時給がいくらになっているか
  • 健康保険・厚生年金・雇用保険の保険料が引かれているか
  • 所得税がいくら引かれているか
  • 交通費がいくら出ているか

方法1:時給の高い仕事・時間帯を選ぶ

最低賃金は毎年上がっている

厚生労働省によると、令和7年度の最低賃金の全国加重平均は1,121円です。さらに令和8年度は1,177円に引き上げる答申が出ていて、2026年10月1日から12月2日にかけて、都道府県ごとに順番に新しい金額に変わる予定です。

もし今の時給が地域の最低賃金とほとんど同じなら、同じ仕事でも少し時給の高い職場に移るだけで、年収が上がることがあります。また、令和8年度の答申では、最も高いところが1,280円、最も低いところが1,085円で、地域によって195円の差があります。求人を見るときは、地域の最低賃金と比べて高いか低いかを確認しましょう。

深夜手当は25%以上の割増

労働基準法では、夜22時から朝5時までに働いた時間には、25%以上の割増賃金を払うことが決められています。これはアルバイトにも当てはまります。

時給1,200円の人が深夜に働くと、その時間は1,500円以上になります。月にどれくらい変わるかを計算すると、次のとおりです。

働き方(時給1,200円の場合) 月の収入 年収
日中に1日7時間×月20日 16万8,000円 201万6,000円
同じ時間のうち、1日5時間を深夜帯にした場合 19万8,000円 237万6,000円

※深夜割増を25%として計算。

同じ時間働いても、年に36万円ほど変わります。ただし、夜勤は体への負担も大きいので、睡眠や食事のリズムを崩さないように、自分に合うかを見ながら取り入れましょう。

残業・休日出勤の割増もチェック

1日8時間・週40時間を超えて働いた時間(時間外労働)には25%以上、月60時間を超えた部分には50%以上の割増賃金がつきます。月60時間を超える部分の50%は、2023年4月から中小企業にも適用されています。法定休日に働いた場合は35%以上です。

給与明細を見て、割増がきちんとついているかを確認しておきましょう。

時給が上がりやすい仕事の探し方

求人を探すときは、時給の数字だけでなく、次の点も見ると年収が上がりやすくなります。

  • 「昇給あり」と書かれていて、昇給の時期や条件がはっきりしている
  • 資格手当、リーダー手当など、手当のしくみがある
  • 夜勤や早朝の時間帯に時給が上がる
  • 交通費が出る(出ない職場だと、そのぶん実質の時給が下がる)

今の職場で長く働いているなら、時給を上げてもらえないか相談してみるのも一つの方法です。たとえば、次のように伝えてみましょう。

例文:「2年間働いてきて、新人の方への仕事の説明や、締め作業も任せていただけるようになりました。今後もっと責任のある仕事もしていきたいので、時給について相談させていただけないでしょうか。」

「上げてください」とお願いするだけでなく、自分ができるようになったことを具体的に伝えるのがポイントです。

方法2:年収の壁と社会保険を正しく知る

「年収の壁を超えると手取りが減る」と聞いて、あえて働く時間を減らしている人もいると思います。でも、壁の中身は最近大きく変わっています。

壁 何が起きるか
所得税の178万円 給与収入だけの人は、2026年分・2027年分は年収178万円までなら所得税がかからない
社会保険の加入(週20時間以上) 厚生年金に入っている従業員が51人以上の会社で、週20時間以上などの条件を満たすと、勤め先の健康保険・厚生年金に加入する
親の扶養(130万円) 親の健康保険の扶養に入っている人は、年収が130万円以上になると扶養から外れる(19歳以上23歳未満は150万円)

社会保険は「月8.8万円」の条件がなくなる予定

これまで、アルバイトが勤め先の社会保険に入る条件の一つに「月の賃金が8.8万円以上」があり、年収にすると約106万円なので「106万円の壁」と呼ばれてきました。日本年金機構によると、この賃金の条件は2026年10月に撤廃される予定です。そのあとは、週20時間以上などの条件を満たせば、収入の額にかかわらず加入することになります。会社の規模の条件(厚生年金に入っている従業員が51人以上)も、2027年10月から段階的に小さくなっていく予定です。

社会保険に入ると、保険料が給料から引かれるので、手取りは減ります。目安として、40歳未満で協会けんぽに入っている場合、厚生年金が9.15%、健康保険が平均で4.95%(都道府県によって少し違い、2026年4月分からは子ども・子育て支援金も上乗せされます)、雇用保険が0.5%で、合わせて給料の15%弱です。

ただし、社会保険に入ると、将来の年金が増え、条件を満たせば病気やけがで休んだときの傷病手当金も受け取れます。保険料の半分は会社が払ってくれるので、自分で国民年金と国民健康保険を払うより得になることもあります。「手取りが減るから損」とだけ考えず、長い目で判断しましょう。

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所得税は178万円まで、住民税は別

所得税は、給与収入だけの人なら2026年分・2027年分は年収178万円までかかりません。ただし、住民税はそれより低い年収からかかることがあります。税金の目安は、こちらでまとめています。

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方法3:資格で時給や手当を上げる

資格があると、資格手当がついたり、資格がないとできない時給の高い仕事に応募できたりします。ポイントは、「今の仕事、またはこれからやりたい仕事で、求人票に資格手当や資格必須と書かれている資格」を選ぶことです。なんとなく人気の資格を取っても、年収にはつながりにくいです。

資格を選ぶときのチェックリストです。

  • 応募したい求人の「必須」「歓迎」の欄に、その資格が書かれているか
  • 資格手当がつく求人があるか、いくらか
  • 取るまでにかかる期間と費用はどれくらいか
  • 働きながら勉強を続けられるか

費用をおさえる方法もあります。雇用保険に入っている人(入っていた人)は、厚生労働省の「教育訓練給付金」を使える場合があります。一般教育訓練なら、受講費用の20%(上限10万円)が戻ってきます。初めて使う人は、雇用保険に入っていた期間が1年以上あれば対象になります。

どんな資格が就職に役立つかは、こちらで目的別に紹介しています。

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方法4:正社員になる

ここまでは今の働き方のまま収入を増やす方法を見てきましたが、年収をいちばん大きく変えるのは、正社員になることです。

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、フルタイムで働く人の月の給料(所定内給与)の平均は、正社員・正職員が35万8,800円、正社員・正職員以外が24万1,700円です。月に11万7,100円、12か月で140万円ほどの差があります。しかもこれは賞与を含まない金額です。

年齢別に、正社員を100としたときの正社員以外の給料を見ると、次のようになります。

年齢 正社員以外の給料(正社員=100)
20〜24歳 82.2
30〜34歳 72.8
50〜54歳 55.7

20代前半では2割ほどの差が、50代前半では4割以上の差になります。時給を少し上げる努力も大切ですが、長い目で見ると、正社員になって給料が上がっていくしくみに乗るほうが、年収への影響は大きくなります。

今のバイト先に正社員登用の制度があるなら、それを狙うのも一つの方法です。

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また、学校を卒業してから就職していない既卒の人は、厚生労働省の「青少年雇用機会確保指針」で、卒業後少なくとも3年間は新卒枠で応募できるようにするよう企業に求められています。この期間のうちに動けると、応募できる求人の幅が広がります。

一人で求人を探すのが大変なら、就職支援サービスに相談するのも手です。私も使ったハタラクティブは、フリーターや既卒など、未経験からの就職支援に特化したサービスです。

年収を上げるための行動チェックリスト

最後に、今日からできることを並べておきます。

  • 給与明細で、時給・深夜の割増・保険料・所得税を確認した
  • 自分の時給が、地域の最低賃金と比べてどれくらい高いか調べた
  • 深夜帯や、時給の高い職場に移れないか検討した
  • 今の職場で時給の相談をする準備(できるようになったことのメモ)をした
  • 2026年10月からの社会保険の変更が、自分に関係するか確認した
  • 応募したい仕事に役立つ資格を、求人票から調べた
  • 正社員を目指す場合、いつまでに動くかを決めた

まとめ

  • フリーターの年収は「時給 × 時間 × 日数 × 12か月」で計算し、まず今の数字を知る
  • 深夜(22時〜5時)は25%以上、時間外は25%以上、月60時間を超えた部分は50%以上の割増がつく
  • 社会保険の月8.8万円の条件は2026年10月に撤廃予定。所得税は178万円までかからない(2026年分・2027年分)
  • 資格は、求人票で手当や必須条件になっているものを選ぶ
  • 年収をいちばん大きく変えるのは正社員になること。年齢が上がるほど差は開く

時給を上げる工夫は今すぐできますが、年収の差がいちばん大きくなるのは、正社員として給料が上がっていくしくみに乗れるかどうかです。

正社員を目指すなら、まずは就職支援サービスに相談して、自分が応募できる求人の給料を見てみるのがおすすめです。私が実際に使ったのは、フリーターや既卒に強いハタラクティブ、20代の既卒・フリーターが対象の第二新卒エージェントneoの2つです。また、20代の既卒・フリーターなら、キャリアスタートも無料で相談できます。どれも無料で使えるので、今の年収と比べてみるだけでも、次の一歩が見えてくると思います。

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