フリーターの適職診断|結果の使い方と就職での活かし方
正社員を目指そうと決めたものの、「自分に何が向いているのかわからない」「どの職種に応募すればいいのか決められない」と手が止まってしまう人は多いと思います。アルバイトの経験しかないと、比べる材料が少なく、なおさら迷いやすくなります。
そんなときの手がかりになるのが適職診断です。ただ、診断は受けて終わりにすると、あまり役に立ちません。この記事では、国が提供している診断や相談窓口を紹介したうえで、結果の読み方と、求人選び・志望動機への活かし方を例文付きでまとめました。先に結論を書いておきます。
- 厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」の自己診断ツールや、ハローワークの職業相談など、公的な診断は登録なしで試せて、相談窓口も無料で使える
- 診断結果は「この職業に就くべき」という答えではなく、自分の興味や価値観、得意なことを言葉にするための材料
- 結果は、アルバイト経験の裏づけとセットにして、求人選びと志望動機に使う
- 企業の選考で使われる適性検査(SPIなど)とは目的が違う。診断を信じすぎず、実際の仕事内容で確かめることが大切
適職診断は「答え」ではなく「自分を言葉にする道具」
適職診断というと、「向いている職業をズバリ教えてくれるもの」と思われがちです。でも実際には、診断が教えてくれるのは、自分の答えから見えてくる傾向です。
ジョブタグの案内でも、検査結果から出てくる職業の一覧は、その職業に就かなければならないという意味ではなく、職業探しのヒントとして使うものだと説明されています。
たとえば「人と関わる活動に興味が強い」「安定した環境を大事にしている」「数字の処理が比較的得意」といった傾向がわかっても、それだけで応募先が決まるわけではありません。一方で、就職活動では「どんな仕事がしたいのか」「なぜこの職種なのか」を何度も聞かれます。ぼんやりしていた自分の考えを言葉にするきっかけとして、診断はとても使いやすい道具です。
診断結果は、そのまま信じるものではなく、自分の経験で確かめて使うものです。この考え方を前提に、どこで受けられるのか、どう読めばいいのかを見ていきます。
気軽に使える公的な適職診断と相談窓口
厚生労働省「ジョブタグ」の自己診断ツール
ジョブタグは、厚生労働省が運営する職業情報提供サイトです。500を超える職業について、仕事の内容やタスク、必要なスキルなどを調べられます。2024年3月のリニューアルで、それまでの「適職探索」は「自己診断ツール」という名前に変わりました。ユーザー登録をしなくても使えます(登録すると、結果を保存しておける期間が長くなります)。
自己診断ツールでは、自分の興味や価値観、能力的な特徴に関する検査から、合いそうな職業を探せます。主なものは次のとおりです。
| ツール | わかること |
|---|---|
| 職業興味検査 | どんな仕事や活動に興味があるかの傾向と、それに合う職業 |
| 仕事価値観検査 | 働くうえで何を大事にしたいかの傾向と、それに合う職業 |
| 職業適性テスト | 能力的な特徴と、それを活かしやすい職業 |
職業適性テストは、もともとある5種類の検査に加えて、2024年3月から眼と手・指を連動させて正しく動かす力(運動共応)を測る検査が加わりました。途中で計算が必要な問題が出るので、メモ用紙を用意するよう案内されています(電卓は使いません)。途中で長く中断すると検査が終わってしまうこともあるので、邪魔が入らない時間に受けるのがおすすめです。
このほか、ジョブタグには「しごと能力プロフィール」「ポータブルスキル見える化ツール」「キャリア分析」なども用意されています。キャリア分析は、自分の強みや弱みを分析して、就きたい職業と比べられる機能です。診断で気になった職業は、同じサイト内で仕事の内容まで調べられるのがジョブタグの便利なところです。
マイジョブ・カードの自己診断
厚生労働省の「マイジョブ・カード」のサイトにも、自己診断のページがあります。職業とパーソナリティを6つのタイプに分けて考える「興味診断」、3つの観点からスキルを確認する「スキルチェック」、働くうえで大切にしたい価値観を振り返る「価値観診断」の3つです。ジョブタグと組み合わせて、結果が似ているかを比べてみるのもよいでしょう。
ハローワーク・わかものハローワークの職業相談
ネットの診断だけでは結果の読み方がわからない人は、ハローワークの職業相談を使えます。正社員を目指すおおむね35歳未満の人なら、「わかものハローワーク」で相談することもできます。
ハローワークによっては、労働政策研究・研修機構が開発した「キャリア・インサイト」(能力・興味・価値観・行動特性を調べる検査)や、「厚生労働省編 一般職業適性検査」(9種類の適性能を測る検査)を案内しているところもあります。実施しているかどうかや予約が必要かどうかはハローワークごとに違うので、事前に問い合わせてみてください。
ジョブタグの結果を持って相談に行き、「この結果をどう読めばいいか」を相談員に聞いてみるのも一つの方法です。わかものハローワークなどの支援は無料で受けられます。
民間の就職エージェント
民間の就職エージェントの中には、面談の中で適性や希望を整理してくれるところもあります。診断の内容はサービスによって違うので、登録前に確認しておきましょう。診断の結果をそのまま求人の紹介につなげてもらえるのが、民間サービスを使う利点です。20代の既卒やフリーターが対象の第二新卒エージェントneoのように、若い人の就職支援を中心にしているサービスもあります。
診断結果の読み方|3つのポイント
ポイント1:職業名より「理由」を見る
結果に並ぶ職業名だけを見て、「自分は○○に向いているらしい」で終わらせないようにしましょう。大事なのは、なぜその職業が出てきたのかです。「人の役に立つことにやりがいを感じる」「決まった手順で正確に進めるのが好き」など、結果の説明文から自分の傾向を読み取ります。
ポイント2:複数の診断で重なるところを探す
興味、価値観、能力の診断を受けたら、共通して出てくる傾向に印をつけます。1つの診断だけで出た結果より、いくつかの診断で重なった傾向のほうが、自分の特徴である可能性が高いと考えられます。
ポイント3:意外な結果は「経験」で確かめる
思ってもいなかった職業が出てきたときは、すぐに否定せず、アルバイトや学生時代の経験の中に当てはまる場面がないか思い出してみましょう。反対に、どう考えても当てはまらないなら、無理に合わせる必要はありません。
結果の読み替えの例
| 診断に出た傾向 | アルバイト経験で確かめる問い |
|---|---|
| 人と関わる活動への興味が強い | お客さまや仲間とのやりとりで、楽しかった場面はあるか |
| 決まった手順で正確に進めるのが得意 | レジ締めや在庫管理など、ミスなくこなせた作業はあるか |
| ものを作ったり動かしたりする仕事への興味 | 調理、品出し、倉庫作業などで手を動かすのが苦にならなかったか |
| 安定した環境を大事にしたい | シフトや働き方が落ち着いているときに力を出せたか |
診断結果を求人選びにつなげる手順
診断結果を実際の応募先につなげるには、次の4つの手順がおすすめです。
手順1:傾向を3つのキーワードにしぼる
読み取った傾向を、「人と話す」「正確さ」「チームで動く」のように短い言葉にしぼります。多すぎると求人を選ぶときの基準になりません。
手順2:候補の職業の中身を調べる
結果に出た職業のうち、気になるものをジョブタグで調べ、どんな作業をするのか、どんなスキルが必要なのかを確認します。イメージと実際の仕事内容がずれていないかを見ることが目的です。
手順3:求人票の「仕事内容」とキーワードを照らし合わせる
求人を見るときは、職種名だけで判断せず、仕事内容の欄に3つのキーワードとつながる作業があるかを確かめます。同じ「営業」でも、新しいお客さまを開拓する仕事と、決まったお客さまを回る仕事では、求められる力がかなり違います。
手順4:「譲れること」と「譲れないこと」を分ける
診断で大事にしたい価値観がわかったら、それを「絶対に譲れない条件」と「できれば欲しい条件」に分けておきます。全部を満たす求人を探すと、応募先が見つからなくなりやすいからです。
診断結果を志望動機・自己PRにつなげる例文
面接で「診断で○○に向いていると出たので応募しました」とだけ話しても、説得力はあまりありません。診断結果は、「診断でわかった傾向」+「それを裏づけるアルバイト経験」+「応募先の仕事との接点」の3つをそろえて使います。
例文1:事務職に応募する場合
「自己分析をする中で、決まった手順に沿って正確に作業を進めることに向いていると気づきました。コンビニのアルバイトでは、レジ締めや発注を担当し、数字の確認を2回するようにしてからは、金額のずれを出さずに続けられています。御社の事務職は、受発注のデータ入力や書類の確認が中心と伺い、この正確さを活かせると考えて志望しました。」
例文2:販売職・営業職に応募する場合
「私は、人と話しながら相手の困りごとを聞き出すことにやりがいを感じるタイプです。アパレル店のアルバイトでは、お客さまの普段の服装や使う場面を聞いてから商品をすすめるようにしたところ、名前を覚えて来店してくださる方が増えました。お客さまの話をじっくり聞いて提案する御社の営業スタイルに魅力を感じ、応募しました。」
どちらの例文も、「診断で」という言葉は使っていません。診断はあくまで自分の傾向に気づくきっかけで、面接で伝えるのは自分の経験です。アルバイト経験の中の数字や具体的な場面は、正確に言えるものだけを使いましょう。
診断を信じすぎないための注意点
- 結果は「今の自分」の傾向:経験が増えると、興味や価値観は変わることがあります。数年前に受けた結果にしばられる必要はありません
- よく見せようとして答えない:理想の自分を想像して答えると、実際の自分とずれた結果が出てしまいます
- 向いていない=できない、ではない:結果に出なかった職業でも、働きながら力がつくことはよくあります
- 能力のテストは体調や慣れにも左右される:疲れているときや、あわてて受けたときの結果は、少し割り引いて見ましょう
- 診断のためだけに個人情報を出しすぎない:出どころのわからない診断サイトより、公的なサイトから試すのが安心です
企業の選考で使われる適性検査(SPIなど)との違い
ここまで紹介した適職診断は、自分のために受けるものです。一方、SPIなどの適性検査は、企業が選考の参考にするために受けてもらうもので、目的が違います。
SPIを提供するリクルートマネジメントソリューションズによると、SPIは大きく「能力検査」と「性格検査」に分かれています。能力検査には言語分野と非言語分野などがあり、性格検査では約300問の日ごろの行動や考え方についての質問から、人との接し方や仕事への取り組み方などの特徴を測ります。
性格検査については、同社も、自分を良く見せようとせず、日ごろの自分に近い選択肢を率直に選ぶようすすめています。適職診断で自分の傾向をつかんでおくと、性格検査で迷ったときにも、ぶれずに答えやすくなります。能力検査のほうは、問題の形式に慣れておくと落ち着いて受けられるので、応募先で使われるとわかったら問題集などで準備しておきましょう。
まとめ
- 適職診断は、向いている職業を当てる道具ではなく、自分の興味・価値観・得意なことを言葉にする道具
- 厚生労働省の「ジョブタグ」や「マイジョブ・カード」の自己診断は登録なしで試せる。ハローワークの職業相談も無料
- 結果は職業名より理由を見て、複数の診断で重なる傾向を探す
- 求人選びでは、傾向を3つのキーワードにしぼり、求人票の仕事内容と照らし合わせる
- 志望動機では「診断でわかった傾向+アルバイト経験+応募先との接点」の3つをそろえる
- SPIなどの適性検査は企業が選考で使うもの。診断とは目的が違う
診断の結果を見ても、「結局どの求人に応募すればいいのか」までは自分だけでは決めきれないこともあります。そんなときは、結果を持って人に相談するのが早道です。
私が実際に使ったのは、未経験からの就職に慣れたハタラクティブ、20代の既卒・フリーターが対象の第二新卒エージェントneoの2つです。また、20代の既卒・フリーターなら、キャリアスタートも無料で相談できます。面談で「診断ではこういう結果が出た」と伝えておくと、求人を探すときの話が進めやすくなるので、気になるところから試してみてください。

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