フリーターや既卒で初めて就職活動をする人にとって、応募や面接のマナーは、誰かに教わる機会が少ないものです。アルバイトの面接と同じ感覚で臨んで、知らないうちに印象を下げてしまっていることもあります。

マナー違反の多くは、悪気があってするものではありません。「知らなかった」「これくらい大丈夫だと思った」という小さなずれが、書類の送り方やメールの一文、当日の服装に出てしまいます。この記事では、応募から面接、お礼の連絡までを段階に分けて、よくあるマナー違反と直し方をまとめました。先に結論を書いておきます。

  • マナー違反は、応募の連絡、書類、面接当日、オンライン面接、面接後のどの段階でも起こる
  • 直し方の基本は、応募先を「これから取引する相手」と考えて連絡すること
  • 自分では気づきにくいので、送る前の見直しと、第三者のチェックを習慣にする
  • 応募に慣れてきたころの会社名の書き間違い、連絡の遅れに特に注意する

マナー違反は、気づかないうちにしていることが多い

就職活動のマナーで難しいのは、アルバイトの応募ではとくに問題にならなかったことが、正社員の選考では気になる点として見られる場合があることです。たとえば、メールの件名が空欄のまま送る、面接の日程の返事が数日後になる、といったことは、本人にとっては小さなことでも、受け取る側には「仕事でも同じことが起きるかもしれない」と映ります。

企業側がマナーをどれくらい気にしているかは、公的な調査でも確かめられます。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」では、フリーターを正社員として採用する際に重視する点として、約半数の事業所が「マナー・社会常識」を挙げていて、「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」に次ぐ2番目でした。経験や資格よりも上位にあります。

マナーは、覚えれば誰でも直せる部分です。経験や学歴と違って、今日から変えられます。

ただし、マナーだけで合否が決まるわけではありません。ここで紹介するのは、「せっかくの経験や意欲が、マナーのせいで伝わらない」という事態を防ぐためのものです。面接での答え方そのものを知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。

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段階別に見る、よくあるマナー違反と直し方

応募・問い合わせの段階

よくあるマナー違反 直し方
求人票に書いてあることを電話で聞く 問い合わせの前に、求人票と会社のHPを読み直す。聞くのは書かれていないことだけにする
会社の場所や行き方を電話で聞く 住所を地図アプリで調べ、前日までに経路と所要時間を確認しておく
メールの件名が空欄、または「よろしくお願いします」だけ 件名に用件と名前を入れる(例:面接日程のご連絡/氏名)
日程の連絡に何日も返事をしない その日のうちに返事をする。すぐに決められない場合は、受け取ったことだけでも先に伝える
書類選考中に、何度も結果を問い合わせる 結果の連絡時期を確認し、その日を過ぎてから一度だけ問い合わせる

電話で問い合わせるときは、名乗ったあとに「採用ご担当の方はいらっしゃいますか」と取り次ぎをお願いし、担当者が出たら「今、お時間よろしいでしょうか」と都合を聞いてから用件に入ります。

面接の日程が届いたときの返信は、次のように短くまとめれば十分です。

日程の返信メールの例
件名:届いたメールの件名のまま返信する
「〇〇株式会社 人事部 〇〇様
お世話になっております。〇〇(氏名)です。面接日程のご連絡をいただき、ありがとうございます。〇月〇日(〇)〇時からの面接に伺います。当日はどうぞよろしくお願いいたします。」

応募書類の段階

よくあるマナー違反 直し方
書き間違いを修正液や修正テープで直す 手書きの場合は新しい用紙に書き直す。応募先の指定がなければ、パソコンで作成してもよい
空欄が多い、写真が昔のもの 書ける欄はすべて埋め、写真は最近撮ったものを使う。本人希望欄は「貴社の規定に従います」などと書く
ほかの会社の名前が残ったまま送る 使い回した文章は、会社名、職種名、日付を最後に1つずつ確認する
封筒の宛名が小さい、「御中」「様」の使い分けがちがう 会社や部署あてなら「御中」、担当者の名前がわかるなら「様」。表に「応募書類在中」と書き添える
書類をそのまま封筒に入れる 送付状をつけ、書類はクリアファイルに入れて折り曲がらないようにする

会社名の書き間違いは、応募の数が増えてきたころに起こりやすいものです。志望動機を別の会社用に直したつもりが、1か所だけ前の会社名が残っていた、ということがないよう、送る前に社名で文中を検索する習慣をつけておくと安心です。

履歴書の書き方そのものは、こちらで見本つきでまとめています。

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面接当日(対面)の段階

よくあるマナー違反 直し方
遅れる連絡をしないまま、着いてから事情を説明する 遅れそうだとわかった時点で電話する。着く時間の見込みを伝え、到着後に改めておわびする
約束の時刻ちょうどに駆け込む、または早すぎる時間に受付へ行く 早めに最寄り駅に着いて身だしなみを整え、受付へは約束の5〜10分前を目安に向かう
「服装自由」と書かれていたので普段着で行く 迷ったらスーツか、襟つきのシャツなどのきれいめな服装にする。ジーンズやサンダルは避ける
「〜っす」「ぶっちゃけ」など、友人と話すときの言葉が出る 一人称は「私」にそろえ、相手の会社は話すときは「御社」、書類やメールでは「貴社」と呼ぶ。前日に声に出して練習しておく
指定された持ち物や提出書類を忘れる 案内のメールで持ち物を確かめ、前の晩にかばんに入れておく。前日は早めに休む
待合室でスマホを操作し続ける 建物に入ったら電源を切るか、音と振動が出ない設定にしてかばんにしまう

遅刻しそうなときの電話は、言い訳より先に、おわびと到着時刻を伝えることが大切です。

遅刻の連絡の例
「本日〇時から面接のお約束をいただいている〇〇です。電車の遅延で、到着が〇時〇分ごろになりそうです。大変申し訳ありません。このまま伺ってもよろしいでしょうか。」

服装や言葉づかい、入退室の流れといった基本は、ビジネスマナー全般の記事でも詳しく紹介しています。

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オンライン面接の段階

オンライン面接は移動がないぶん気がゆるみやすく、対面にはない違反が起こりがちです。

よくあるマナー違反 直し方
開始時刻になってからアプリの設定を始める 前日までに同じ機器で接続を試し、当日は少し早めに入室できる状態にしておく
画面に映る名前があだ名のまま 表示名を本名(フルネーム)に変えておく
背景に散らかった部屋や洗濯物が映る 無地の壁を背にするか、落ち着いた背景画像を使う
カメラが下からのぞき込む角度になっている PCやスマホを台に置き、カメラが目の高さに来るように調整する
通知音や家族の声が入る 通知を切り、静かな部屋を確保する。家族には面接の時間を先に伝えておく
通信が切れたまま連絡しない もう一度入り直し、つながらない場合はすぐ電話かメールで状況を伝える

画面越しでは表情が伝わりにくいので、話すときは画面の相手ではなくカメラを見るようにすると、目が合っている印象になります。服装は、映らない下半身も含めて対面と同じように整えておくと、急に立ち上がることになっても慌てません。

面接後・結果連絡の段階

よくあるマナー違反 直し方
ほかの会社に決めたのに、辞退の連絡をしない 辞退を決めたら、できるだけ早く電話かメールで伝える
次の面接に連絡なしで来ない 行けなくなった時点で連絡する。無断で休むのは、どんな理由でも避ける
内定の返事の期限を過ぎても連絡しない 迷っている場合も、期限の前に「〇日までにお返事したい」と相談する

お礼のメールは必須ではありませんが、送るなら当日か翌日までに、短くまとめます。長い文章で自己PRを重ねる必要はありません。

面接後のお礼メールの例
件名:本日の面接のお礼(氏名)
「〇〇株式会社 人事部 〇〇様
本日はお忙しいなか、面接の機会をいただきありがとうございました。お話を伺い、〇〇の仕事に携わりたいという気持ちがいっそう強くなりました。取り急ぎ、お礼を申し上げます。」

応募はビジネスのやりとりと同じ感覚で臨む

ここまでのマナー違反を並べてみると、共通点があります。どれも、相手が仕事の相手だったらしないことです。

応募先の会社は、これから一緒に働くかもしれない相手であり、選考の間は「取引先」に近い関係です。迷ったときは、次のように置きかえて考えてみてください。

場面 取引先が相手なら 応募でも同じように
初めて訪問する 場所は自分で調べて、時間前に着く 経路は前日までに調べ、早めに到着する
書類を渡す 汚れや訂正のあとがない書類を渡す 書き直した、きれいな書類を送る
予定を変える わかった時点ですぐ連絡する 遅刻や辞退は、決めた時点で連絡する
メールを送る 件名と宛名、署名を入れる 件名に用件と氏名、本文の最後に連絡先を入れる

アルバイトの面接では、店長と少し話して、その場で採用が決まることもあります。正社員の選考は、書類、面接、場合によっては複数回の面接と段階が多く、そのぶん連絡のやりとりも増えます。一つひとつのやりとりが、仕事ぶりを想像する材料になっていると考えておくと、自然と丁寧になります。

マナーを身につけるのに、特別な訓練がいるわけではありません。一度覚えた書き方や言い回しを、毎回きちんと使うことが一番の近道です。

自分のマナー違反をあぶり出す方法

マナー違反のやっかいなところは、自分では気づきにくいことです。書類で落ちる、一次面接で落ちる、という結果が続いているなら、どこかに見落としがないか、次の方法で確かめてみましょう。

方法1:送ったメールと書類を読み返す

送信済みのメールと、手元に控えた応募書類を、相手の立場で読み返します。件名、宛名、会社名、日付、署名が正しいかを1つずつ見ていくと、思わぬ抜けが見つかることがあります。

方法2:オンライン面接の練習を録画して見る

Web会議のアプリで自分だけの会議を開き、自己紹介を録画して見返します。目線、声の大きさ、背景、言葉づかいのくせなど、自分では気づかないところがよくわかります。

方法3:第三者にチェックしてもらう

おおむね35歳未満で正社員を目指す人なら、わかものハローワークで、応募書類の作成の相談や模擬面接を無料で受けられます。家族や友人に面接官役を頼むのもよいでしょう。フリーター向けの就職エージェントでも、書類の添削や面接の練習をしてもらえます。たとえば第二新卒エージェントneoは、20代の既卒やフリーターの就職支援を中心にしているサービスです。

方法4:選考の結果を記録する

応募した会社、応募日、どの段階まで進んだかを記録しておくと、書類で止まっているのか、面接で止まっているのかがわかります。止まっている段階がわかれば、見直すべきマナーも絞りこめます。

マナー以外も含めて、採用と不採用がどこで分かれるのかは、こちらの記事で詳しくまとめています。

採用・不採用の分岐点|フリーターが見られるところ
フリーターの採用・不採用の分岐点はどこにあるかフリーターから正社員を目指して応募を続けていると、「手応えがあったのに落ちた」「あまり自信がなかったのに受かった」ということがよくありま...

マナー違反を見つけるためのチェックリスト

最後に、段階ごとのチェックリストをまとめました。応募のたびに見直してみてください。

応募・連絡の前

  • 求人票と会社のHPを読み、書いてあることを問い合わせていない
  • メールの件名に用件と氏名を入れた
  • 日程の連絡には、その日のうちに返事をした

書類を送る前

  • 会社名、職種名、日付がすべて応募先のものになっている
  • 修正のあとがなく、空欄を残していない
  • 写真は最近撮ったものを使っている
  • 封筒の宛名と「御中」「様」の使い分けが正しい

面接の前日まで

  • 会場までの経路と所要時間を調べた
  • 服装を準備し、しわや汚れがないか確認した
  • オンラインの場合は、接続、表示名、背景、カメラの高さを確認した
  • 遅れそうなときの連絡先の電話番号を控えた

面接の当日と後

  • 一人称は「私」、話すときは「御社」を使った
  • スマホの音と振動を止めた
  • 辞退や日程変更は、決めた時点で連絡した

とくに気をつけたいのは、応募に慣れてきたころです。何社か受けるうちに「このくらいで大丈夫」「その場でなんとかなる」と準備を省きがちになり、会社名の書き間違いや連絡の遅れが出やすくなります。快調だと感じたときほど、チェックリストに戻るようにしましょう。

迷ったときは、「自分が相手の立場だったら、この連絡を受けてどう思うか」を考えてみてください。自分が受け取って困るメールや、されていやな対応は、相手にとっても同じです。

まとめ

  • マナー違反は、応募の連絡、書類、面接当日、オンライン面接、面接後のどの段階でも起こる
  • 厚生労働省の調査では、フリーターの採用で「マナー・社会常識」を重視する事業所は約半数。意欲に次ぐ2番目
  • 直し方の基本は、応募先を取引先と同じように扱うこと。連絡は早く、書類はきれいに、変更はすぐ伝える
  • オンライン面接は、接続、表示名、背景、カメラの高さを前日までに確認する
  • 自分では気づきにくいので、読み返し、録画、第三者のチェック、結果の記録であぶり出す
  • 応募に慣れてきたころほど、チェックリストに戻る

マナーは一人でも直せますが、誰かに見てもらうと直るのが早くなります。

私が使ったのは、ハタラクティブ、第二新卒エージェントneo、ジェイックの3つで、ジェイックはビジネスマナーを含む研修を受けてから面接に進む形です。また、20代の既卒・フリーターなら、キャリアスタートも無料で相談できます。メールの書き方や面接での受け答えを誰かに見てほしいという人は、どれか一つに相談して、今の自分のくせを指摘してもらうところから始めてみてください。

ABOUT ME
エイジ
大学を中退し、高卒の学歴のまま20代半ばまでフリーターとニートを経験(飲食店・コンビニ・運送業のアルバイト)。就職支援サービスのハタラクティブ経由で、広告会社の営業職として正社員になりました。ハタラクティブやジェイックを実際に使った体験をもとに、フリーター・既卒・中退者の就職について書いています。
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